カレンダー
リトルワールドの博物館活動について
博物館活動の趣旨
収集・研究 :“本物”へのこだわり
文化人類学を基盤とした調査研究
リトルワールドの展示は、文化人類学を基盤とし、展示物の背後にある文化とその歴史に関する学術的調査と研究による裏付けの上に成り立っています。したがって、世界の歴史、民族問題、環境問題など、社会学や地理学、歴史学などの幅広い隣接分野の学習と研究にも役立つものになりうることでしょう。また、世界を知ろうとするための興味関心を持つ人や、観光や報道などの活動にも、思いがけないアイデアや情報を与えてくれるかもしれません。
野外展示家屋の復元
家屋復元の方法には大きく分けて現地の家屋を分解して移築する移築復元と、現地の家屋の形をなぞって、現地から材を入れ、大工を招いて復元する形態復元があります。どちらの復元方法も現地家屋のリアルな再現を追及しています。家屋の選定、設計図面の作成、建材の搬入、大工の招へいなどをへて家屋が完成するまでには、数年の期間と多くの人びとの協力が必要です。
つづきを読む
移築復元
「移築(いちく)復元」とは、実際の家屋をリトルワールドまで移動させて築き上げる復元手法です。展示家屋として紹介するのにふさわしい家を選定し、所有者の了承を得たうえで解体し、リトルワールド敷地まで部材を運搬して忠実に組み建て直す復元手法です。まさに 本物の家屋標本です。
解体から復元までの一連の作業は慎重を要します。家屋を構成するそれぞれの部材は数千有余パーツにも及びます。それら一つ一つをリトルワールドで正確に組み合わせなければなりませんので、すべての部材に数字や記号などの印を付け、どこに、どのように組み込まれていたかまですべて記録します。リトルワールドでの復元工事は、この記録に基づいて解体手順の逆の順番で組み上げて完成させます。

「インドネシア トバ・バタックの家」の現地での解体の様子(1981年)

「フランス アルザス地方の家」現地解体の様子(1986年)。この家屋は1985年まで住まいとして使われていた。
移築復元の家屋例:沖縄県 石垣島の家、インドネシア トバ・バタックの家、フランス アルザス地方の家 など
形態復元
「形態(けいたい)復元」とは、実際の家屋をモデルにして可能な限り形態を忠実に復元する手法です。伝統家屋が民族集団の居住地に物理的に存在しない場合、存在していても売買の承諾を得られない場合などに形態復元の手法をとります。また現地で希少且つ貴重な建造物は解体してまで移築を試みること自体無意味ですので形態復元で再現します。
復元時には現地より部材を取り寄せて、職人を招へいして作業にあたってもらうことを理想としていますが、様々な理由からそれが叶わない場合もあります。とはいえモデル家屋の詳細にわたって採寸し、部材や構造を把握し、すべてを入念な調査記録に基づいて復元しますので、この復元も現物同様の価値を有する家屋標本と言っても過言ではありません。

「ネパール 仏教寺院」復元に向けた現地での実測調査(1984年)

復元工事の様子(1984~85年)
形態復元の家屋例:ペルー 大農園領主の家、イタリア アルベロベッロの家、西アフリカ カッセーナの家 など
保存と修復 :現地と協働し、遺し、伝える
復元家屋は、時間の経過とともに、壊れたり傷がついたりしてきます。部分的に修復するだけでは済まない損傷が見られる場合は、家屋の大部分を修復する必要が出てきます。この修復プロジェクトに、現地の人びとの協力は欠かすことができません。
つづきを読む
リトルワールドが有する民族資料や家屋標本は、様々な民族の大切な文化遺産です。開館以来、リトルワールドは文化遺産の管理者として、民族固有の伝統知や経験知の継承支援と、多文化共生を視野に入れた交流事業にも積極的に取り組んできました。このように文化遺産を「どう守り、遺し、伝えるか」は、当館だけではなく、「本来の所有者」たる民族とともに考え、協働し、継続的におこなっていく必要があります。
国や文化、世代を超えて人と人が触れ合いながら、それぞれの歴史や文化を身近なもとして理解していくこと。当館が一貫して掲げている理念は、この先の人間社会の目指すべきあり方に通じるものであると考えています。

修復に先立ち現地で打ち合わせを行う(2019年)

「ポリネシア サモアの家」修復(2019年)
展示・教育 :“楽しみながら学ぶ”
リトルワールドの常設展示は、本館と野外展示の二部構成です。両方を合わせて観覧することによって、「人間」という存在について様々な角度からとらえ、考えるためのヒントを得ることができるでしょう。
そして、当館ではただ展示を見るだけでなく五感を使って体験することで、“楽しみながら学べる”ように、さまざまなコンテンツを備えています。
つづきを読む
本館では、世界各国から集めた豊富な民族資料を通じて、5つのテーマに沿って人間の文化と生活を紹介しています。展示は、文化の多様性とともに、共通する人間の絆を感じられる内容です。
野外展示では、世界各地の伝統的な家屋を復元し、「家と暮らし」をテーマに、その地域ごとの独自性を紹介しています。復元された家屋は、実際に住民が使っていた家や実在の家をモデルに、材料や建築方法をできるだけ正確に再現しており、生活用具とともに展示されています。これにより、各地の人々の知恵や工夫を学ぶことができます。
また、リトルワールドでは「モノ」だけでなく、実際に異文化に触れる体験も提供しています。サーカスやコンサートなどのさまざまなイベントを開催し、各野外展示場では民族衣装の試着体験ができるほか、世界各国のグルメや土産物を取り扱うショップも充実しています。リトルワールドは「見る」だけでなく、「触れる」「味わう」など五感を使って楽しみながら世界の文化を体験できる博物館です。

”楽しみながら学べる”しくみ
その他
沿革
リトルワールドは15年余の準備期間を経て、1983年3月に開館しました。開館後も新しい展示家屋を建設しています。ここでは構想段階から現在までの主な活動の沿革を掲載しています。
つづきを読む
クラウドファンディング
2023年秋、「ネパール 仏教寺院」の修復に際して、工事費用の一部をクラウドファンディングにて支援をいただきました。支援者の一覧を特設ページにて掲載させていただきました。
クラウドファンディングご支援者様一覧
クラウドファンディングページ|『「ネパール 仏教寺院」の危機、修復し未来へつなぎたい』
よりくわしく知りたい方へ
年報
準備中