exhibition
展示
サバンナに映えるカラフルな幾何学模様
南アフリカ ンデベレの家
サバンナに映えるカラフルな幾何学模様
南アフリカ ンデベレの家
復元年代
復元方法
家屋修復年
変化の中で育まれた文化
南アフリカのンデベレは、昔は主にウシを飼育する牧畜民でしたが、現在では都市で働く人がほとんどです。
首都のプレトリアに近い地域に住んでいたため、早い時期から白人文化の影響を強く受け、昔ながらの習慣を喪失し、新たな文化を創出していった民族です。
展示家屋では、そんな近代化、西欧化の波の中で、自らの伝統をうまく調和させて生きるンデベレの現代のくらしを再現しています。その大きな特徴は独特の色彩感覚で、家屋の壁には精密でカラフルな幾何学模様が描かれています。
経験と勘がものを言う
水性ペンキを使って壁絵を描くのは女性たちの仕事です。幾何学模様は、下書きもせず、定規も使わずに、フリーハンドで描かれます。美しい壁絵を描く女性ほど尊敬されています。壁絵のモチーフにとくに決まりはなく、描き手である女性が普段の生活の中からインスピレーションを得てデザインしています。
伝統的な衣装
性別、世代に応じて身に着けるべき衣装が決まっています。女性はガラス製のビーズ細工の装飾品、アクリル製のカラフルな毛布をまとう一方、男性は皮を主体にしたものを身につけます。こうした民族衣装は、近隣の他の民族には見られないンデベレ独自の文化です。
20年を経て甦った壁絵の美ー2016年の修復プロジェクト
1995年にこの家屋を復元した際、壁絵は現地から招聘した4人の絵師によって、約2か月をかけて描かれました。それから約20年が経過し、紫外線や風雨により外壁面の色褪せが進み、劣化が目立つようになりました。そこで2016年9月に、南アフリカから4名の絵師を招き、約2か月をかけて壁画の塗り直し作業を行いました。
リーダーを務めたレア氏は、1995年当時にも来館したベテランの絵師です。彼女の親族であるプレシャス氏とザネレ氏は、それぞれ中堅と新人の絵師で、4人目のローズ氏は最年長のベテラン絵師です。
劣化が進んでいた外壁面は一度白く塗りつぶし、デザインや色の配置はリーダーであるレア氏が先導し、一から描画を行いました。家の内部など一部の場所では、同じ色を上から塗り重ねるリペイント方式が採用されました。
一見平らに見える壁面も、実際にはでこぼこしており、均一に塗料が伸びません。美しい壁絵を描くには、熟練した筆さばきと、全体のバランスを見極める力量が求められます。明るく朗らかで、いつも陽気に振る舞う女性職人たちが、精緻な模様を次々と生み出していく姿は、プロフェッショナルな仕事ぶりとして印象的でした。